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【保存版】ロングライドの雨対策完全ガイド|もう天気に悩まないための装備と走り方

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ロングライドはサイクリストにとって最高の楽しみの一つである。

しかし、その楽しみに水を差す最大の要因が「雨」だ。

天気予報を信じて走り出したものの、途中で予報が外れて土砂降りに見舞われた経験は、多くのサイクリストが持っているだろう。

雨はただ不快なだけでなく、スリップによる落車、視界不良による事故、そして何より恐ろしい低体温症など、多くの危険を伴う。

だからこそ、ロングライドにおける雨対策は、安全に走り切るための必須スキルなのだ。

筆者も過去に何度も雨天走行を経験し、準備不足で辛い思いをしたこともあれば、万全の対策で快適に走り切れたこともある。

その経験から断言できるのは、正しい知識と準備さえあれば、雨のロングライドは決して乗り越えられない壁ではないということだ。

この記事では、筆者の実体験を交えながら、雨予報のロングライドに挑むための準備から、走行中の注意点、さらにはアフターケアまで、雨対策の全てを徹底的に解説していく。

この記事でわかること

  • ロングライドで雨対策が絶対に欠かせない理由
  • 【出発前】雨に備えるための必須装備とバイクの準備
  • 【走行中】雨天時でも安全を確保するライディングテクニック
  • 【走行後】濡れた体とバイクを正しくケアする方法
  • 筆者の体験から学んだ、本当に役立つ知識と失敗談

重量115kg(Lサイズ)の超軽量でありながら、耐水圧20,000mm・透湿性40,000g/m2-24hの高性能レインジャケット。(筆者も所有)

なぜロングライドで雨対策が重要なのか?

そもそも、なぜこれほどまでに雨対策が重要視されるのか。

それは、雨がサイクリストから「安全性」と「体温」という二つの重要な要素を奪うからである。

著しく低下する安全性

まず、路面が濡れることでタイヤのグリップ力が大幅に低下する。

乾いた路面では何でもないマンホールの蓋や白線、落ち葉などが、水に濡れると凶器に変わる。

特に下り坂のコーナーでは、スリップによる落車リスクが格段に高まるのだ。

さらに、雨粒や路面からの跳ね水で視界が悪化する。

前方が見えにくいだけでなく、後方から接近する自動車のドライバーからも、こちらの姿は認識されにくくなる。

雨音で周囲の音が聞こえにくくなることも、危険を察知する能力を鈍らせる要因となる。

つまり、雨天走行は自分だけでなく、他者をも巻き込む事故につながりやすい危険な状態なのである。

低体温症という見えない恐怖

そして、安全性と同じくらい、あるいはそれ以上に警戒すべきなのが「低体温症」だ。

ロングライドでは、常に風にさらされながら走り続ける。

雨でウェアが濡れると、気化熱によって急速に体温が奪われていくのだ。

最初は少し肌寒く感じる程度かもしれない。

しかし、それが長時間続くと、体の芯から冷え切り、震えが止まらなくなる。

思考力が低下し、適切な判断ができなくなり、ペダルを漕ぐ力さえ失われてしまう。

これは大げさな話ではない。

筆者も過去、夏の山岳ロングライドで、山頂付近の急な雨に見舞われたことがある。 標高が高いため気温も低く、下り坂で風を浴び続けた結果、指先の感覚がなくなり、ブレーキレバーを握る力も弱まってしまった。 あの時ほど「危険」を実感したことはない。

適切なレインウェアが一枚あるかないかで、文字通り生死を分ける可能性すらあるのだ。

このように、雨対策とは単なる快適性を求めるものではなく、自らの命を守るための重要な装備なのである。

【出発前編】雨予報のロングライドで必須の準備

雨のロングライドを乗り切れるかどうかは、出発前の準備で8割が決まると言っても過言ではない。

ここでは、「服装・装備」「バイク」「持ち物」の3つの観点から、万全の準備を解説する。

雨から体を守る服装・装備

雨から体を守る装備は、何よりも優先度が高い。

ケチらず、信頼できるものを選ぶべきだ。

レインウェア(ジャケット・パンツ)

レインウェア選びで最も重要なのは「防水性」と「透湿性」である。

防水性は言わずもがな、外からの雨の侵入を防ぐ性能だ。

しかし、防水性だけを追求すると、ビニールカッパのように内側が汗で蒸れてしまう。

汗で濡れたインナーウェアは、雨で濡れるのと同じくらい体温を奪う原因となるのだ。

そこで重要になるのが、内側の湿気を外に逃がす「透湿性」である。

「ゴアテックス(GORE-TEX)」に代表される高機能素材は、この防水性と透湿性を両立している。 価格は高いが、その価値は十分にある。

また、ロングライドでは「携帯性」も重要だ。

晴れている間はジャージのバックポケットに収納できる、コンパクトに折りたためるモデルを選ぶのが賢明だ。

重量115kg(Lサイズ)の超軽量でありながら、耐水圧20,000mm・透湿性40,000g/m2-24hの高性能レインジャケット。(筆者も所有)

パンツは不要と考える人もいるが、下半身、特に太ももの筋肉が冷えるとパフォーマンスが著しく低下するため、長い降雨が予想される場合は持っていくことを強く推奨する。

シューズカバー

足元は路面からの跳ね水を最も受けやすい部分だ。

ビンディングシューズは通気性が良い分、水が浸入しやすく、一度濡れると乾きにくい。

濡れた靴下は不快なだけでなく、足先の冷えから体全体の冷えにつながる。

防水性の高いネオプレン素材などのシューズカバーは、雨の日のマストアイテムだ。

シューズとカバーの隙間から水が入らないよう、足首までしっかりと覆うタイプが良い。

サイクルキャップ

ヘルメットの下にサイクルキャップを被ることは、雨対策として非常に有効だ。

小さなつばが、顔に直接雨が当たるのを防ぎ、視界を確保してくれる。

アイウェアに付着する雨粒も軽減できる。

また、頭部からの水の侵入を防ぎ、体温低下を抑える効果も期待できる。

防水グローブ

濡れた手ではブレーキやシフターの操作がしにくくなり、非常に危険だ。

防水・防風性のあるグローブを選ぶことで、操作性を確保し、指先の冷えを防ぐことができる。

これもまた、安全に関わる重要な装備である。

ブルベ勢の定番アイテムのテムレス。

アイウェア(クリアレンズ)

雨の日でもアイウェアは必須だ。

路面からの跳ね水や泥、虫などから目を保護する役割がある。

ただし、通常のスモークレンズでは視界が悪くなりすぎるため、明るい視界を確保できる「クリアレンズ」や「調光レンズ」に交換しておくべきだ。

コスパが良くて、性能もいい、おすすめの調光サングラスは下記。(🔗レビュー記事

曇り止めを塗っておくとさらに快適になる。

不思議なほどまったく雨粒が残らない、サングラスのレンズに塗るアイテムは下記。

バイクの準備(雨対策)

自分だけでなく、バイクにも雨対策を施す必要がある。

泥除け(フェンダー)

本格的な泥除けは、雨天走行の快適性を劇的に向上させる。

特に後輪の泥除けは、お尻や背中への水の跳ね上げを防ぎ、不快感と体温低下を大幅に軽減する。

サドルの下に取り付ける簡易的なタイプでも効果は絶大なので、一つ持っておくと良い。

前輪の泥除けは、顔や足元への跳ね上げを防ぎ、チェーンなど駆動系の汚れも軽減してくれる。

タイヤと空気圧

雨の日は、普段よりもタイヤの空気圧を少し下げておくと良い。

具体的には、推奨空気圧の下限あたり、0.5気圧(BAR)ほど下げるのが目安だ。

空気圧を下げることでタイヤの接地面が広がり、グリップ力が向上する。

ただし、下げすぎるとリム打ちパンクのリスクが高まるので注意が必要だ。

溝のあるタイヤの方が排水性が高いと思われがちだが、自転車の速度域ではタイヤの溝による排水効果は限定的である。

それよりも、コンパウンドが柔らかく、ウェットコンディションに強いタイヤを選ぶ方が効果的だ。

ライトの点灯

雨の日は日中でも薄暗く、視界が悪い。

自分の存在を周囲の車や歩行者に知らせるため、前後ともにライトを点灯させることは絶対条件である。

これは「デイライト」と呼ばれ、晴天時でも安全のために推奨されている行為だ。

筆者おすすめの最強フロントライト「OLIGHT RN1500」は下記。(🔗レビュー記事

リアライトは、後方からの追突を防ぐために非常に重要となる。

防水性・ランタイムに特化したリアライト「CAT EYE TIGHT」は下記。

チェーンオイル

雨の中を走ると、チェーンオイルは簡単に洗い流されてしまう。

出発前に、粘度が高く水に強い「ウェットタイプ」のチェーンオイルを注しておくこと。

ドライタイプのオイルでは、あっという間に油膜が切れてしまい、キーキーと音鳴りが発生し、変速性能の低下やチェーンの摩耗を早める原因となる。

400㎞ブルベの雨天走行でもオイルが切れることなく走れた、ウェットタイプのチェーンルブは下記。(🔗レビュー記事

濡らしたくない持ち物(雨対策)

スマートフォンや補給食など、濡れては困るものも万全の対策を。

ジップロックの活用

ジップロック付きのビニール袋は、雨対策の万能選手だ。

スマートフォンや紙幣などを入れておけば、浸水を完全に防ぐことができる。

筆者は常に数枚をツールケースに忍ばせている。

タッチパネルも袋の上から操作できるモデルが多く、急な雨でも地図の確認などが可能だ。

補給食

包装が紙でできている補給食は、濡れると中身までダメになってしまう。

エナジージェルやビニールで個包装された羊羹、プロテインバーなど、濡れても問題ないパッケージの補給食を選ぶのが賢明だ。

【走行中編】雨のロングライドを安全に走るテクニック

万全の準備をしても、走り方が悪ければリスクは高まる。 雨の日のライディングは、特別な注意が必要だ。

基本的な心構え

まずは、焦らず、慎重に走るという意識が何よりも大切だ。

  • スピードは控えめに 当然だが、いつもよりスピードを落として走ること。 特に下り坂やコーナーでは、自分がコントロールできる速度まで十分に減速する。 タイムを競う場面ではない。無事に帰宅することが最大の目標である。
  • 車間距離は2倍以上に 前を走る自転車や自動車との車間距離は、普段の2倍以上空ける意識を持つこと。 制動距離が伸びるため、急な減速に対応できなくなる。 また、前の車両が跳ね上げる水しぶきを避ける意味でも有効だ。

安全を確保するライディングテクニック

具体的な操作にも、晴天時とは異なるコツがある。

  • ブレーキングは早めに、優しく リムブレーキの場合、リムとブレーキシューが濡れていると、ブレーキをかけてから効き始めるまでに一瞬のタイムラグが生じる。 このタイムラグを考慮し、常に早めのブレーキングを心がけること。 ブレーキレバーを軽く握って、リムの水分を飛ばすように「予備ブレーキ」をかけるのも有効なテクニックだ。 また、急ブレーキはスリップの原因になるため、ジワっと優しくかけることを意識する。 ディスクブレーキは天候による制動力の変化が少ないが、それでも路面が滑りやすいことに変わりはない。過信は禁物だ。
  • コーナリングはバイクを立てて コーナーでは、普段のようにバイクを深く倒し込むのは非常に危険だ。 なるべくバイクを垂直に立てたまま、体を内側に入れる「リーンウィズ」や「リーンイン」で曲がることを意識する。 これにより、タイヤの接地面を確保し、グリップを失いにくくなる。 コーナーの進入前に十分に減速し、コーナー中はブレーキをかけないのが鉄則だ。
  • 危険な路面を避ける 濡れた路面で特に滑りやすい場所を常に意識し、避けて走ることが重要だ。
    • マンホールの蓋、グレーチング:金属製で非常に滑りやすい。絶対に上を通過しない。
    • 道路の白線、横断歩道:塗料が水を弾き、タイヤがグリップしない。
    • 落ち葉、枝:濡れた落ち葉は氷のように滑る。
    • 水たまり:深さが分からず、中に穴や障害物が隠れている可能性があるため避ける。
    • 道路の継ぎ目:金属やゴムが使われていることが多く、滑りやすい。

【筆者の体験談】雨のロングライドで本当に役立ったアイテムと失敗談

忘れられない失敗がある。

初めての400㎞ブルベで10時間の豪雨の中、何とか完走した時の話だ。

スタート直後から降雨があったのだが、事前に調べていた対策として出走した。

特に足の雨対策が大切との情報があったので、シューズの上にビニール袋で防水性強化、その上からレインシューズカバーで完全な対策であると思っていた。

スタートから3時間くらいでシューズの中、ソックスが濡れてき始めたのに気が付いた。

そこからは完全に浸水してしまい、ぐちょぐちょの水を含んだシューズのまま、なんとかゴールした。

ゴール後にシューズやソックスを脱いでみると、足が真っ白にふやけてしまっていた。

さらに、シューズで締め付けられて皮膚にシワが寄っていたところは、紫色に内出血してしまっていた。

この経験から、雨の侵入対策はもちろんのこと、浸水後の皮膚対策も大切だと分かった。

これ以降、降雨が予想されるライドでは、下記の皮膚保護クリーム「プロテクトJ1」を足の裏などに塗って対策している。(効果は抜群だったので、是非チェックしてみてほしい)

【走行後編】雨で濡れた体とバイクのケア

無事に帰宅しても、まだロングライドは終わっていない。 濡れた体とバイクを放置すると、次に走る時にトラブルの原因となる。

体のケア

まずは自分の体を最優先でケアすること。

  • すぐに体を温める 帰宅したら、すぐに濡れたウェアを脱ぎ、温かいシャワーを浴びる。 湯船に浸かれるならそれが一番良い。 体の芯からゆっくりと温めることで、疲労回復も促進される。
  • 内側から温める 温かいスープやみそ汁などを飲み、体の内側からも熱を補給する。 疲れた体は免疫力も低下しているので、風邪をひかないように注意が必要だ。

バイクのメンテナンス

体と同じくらい、バイクもデリケートだ。 雨水や泥は、放置するとサビや部品の劣化を招く。

  1. 全体の洗浄 まずはホースなどでバイク全体に水をかけ、大きな泥や砂を洗い流す。 特に、チェーン、スプロケット、ディレイラーなどの駆動系は念入りに洗浄する。 パーツクリーナーやディグリーザーを使い、古いオイルと汚れを完全に除去する。
  2. 水分の拭き取り 洗浄後、乾いた布でフレームや各パーツの水分を丁寧に拭き取る。 特にボルトの頭やワイヤーの隙間など、水が溜まりやすい場所は入念に。 可能であれば、エアダスターなどで水分を吹き飛ばすとさらに良い。
  3. 注油 バイクが完全に乾いたら、最も重要な注油作業を行う。 チェーンの一コマ一コマに丁寧にチェーンオイルを注し、余分なオイルを拭き取る。 ディレイラーやブレーキの可動部にも、必要に応じて注油しておく。 これを怠ると、次回のライドでチェーンが錆びていたり、変速がスムーズにいかなかったりする。

Q&A|ロングライドの雨対策でよくある質問

ここでは、雨のロングライドに関するよくある疑問に答えていく。

Q1: ちょっとした雨ならレインウェアは不要?

A1: 不要ではない。

たとえ小雨でも、長時間浴び続ければウェアは濡れ、体温は奪われる。

「少しだから大丈夫」という油断が、低体温症などのリスクを高める。

携帯性の良い軽量なレインジャケット(ウィンドブレーカー兼用の撥水タイプでも可)は、常に携帯しておくべきである。

Q2: スマホや貴重品はどうやって守る?

A2: 最も手軽で確実なのは、ジップロック付きのビニール袋に入れることだ。

100円ショップなどで手軽に入手できる。

よりスマートに対策したい場合は、防水仕様のサイクルウォレットやアウトドアポーチを利用すると良い。

Q3: 雨の日のパンク修理はどうする?

A3: 雨の日のパンク修理は非常に困難で、時間もかかる。

まず、パンクのリスク自体を減らすため、耐パンク性能の高いタイヤを使用し、出発前に空気圧を適正に保つことが重要だ。

万が一パンクした場合は、屋根のある場所(バス停、トンネル、建物の軒下など)を探して作業すること。

手が濡れて作業しにくいため、タオルや軍手があると役立つ。

CO2インフレーターや電動ポンプがあれば、素早く空気を入れることができる。

電動ポンプも含め、空気入れの詳しい解説は下記。

Q4: どのくらいの雨なら中止すべき?

A4: 明確な基準はないが、「危険を感じるレベル」であれば勇気を持って中止するべきだ。

具体的には、視界が数メートル先までしか効かないような土砂降り、強風を伴う雨(横風で煽られる危険がある)、気温が低く低体温症のリスクが非常に高い場合などだ。

また、天気予報で警報(大雨、洪水、暴風など)が出ている場合は、言うまでもなく中止すべきである。

まとめ:適切な雨対策で、安全・安心なロングライドを!

雨の日のロングライドは、確かに晴天時に比べて多くの困難と危険を伴う。

しかし、それは決して克服不可能なものではない。

正しい知識を持ち、信頼できる装備を揃え、慎重なライディングを心がける。

この三つが揃えば、雨天という厳しい環境下で走り切ったという、大きな達成感と自信を得ることができるだろう。

筆者の経験上、雨対策を万全にすることは、バイクのスキルを向上させるのと同じくらい重要なサイクリストの嗜みであると考えている。

この記事で紹介した対策を参考に、天候に左右されずに、自身のサイクリングライフをより豊かにしてほしい。

準備を万全にして、次のロングライドも安全に楽しもう。

重量115kg(Lサイズ)の超軽量でありながら、耐水圧20,000mm・透湿性40,000g/m2-24hの高性能レインジャケット。(筆者も所有)

  • この記事を書いた人

ミル

ロードバイク歴10年の週末ソロライダー。 ロングライドが苦手だったが、今はブルベを楽しんでいる。2022年SR取得。 ロングライドに挑戦する人を応援したい。 にほんブログ村

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