ロードバイクに乗り始めると、誰もが一度は抱く疑問がある。
「ロングライドとは一体何キロからを指すのか」という問いだ。
筆者は2015年にロードバイクを趣味として始めた。当初は長い距離を走るのがとにかく苦手で、すぐに疲れてしまっていた記憶がある。
しかし、少しずつ距離を伸ばし、今ではロングライドやブルベを中心に楽しみ、600kmブルベの完走やSR(シューペル・ランドヌール)の認定を受けるまでになった。
この記事では、そんなかつてロングライド苦手勢だった筆者の経験を踏まえ、ロングライドの定義と、最初の大きな壁となる距離を走り切るためのコツについて解説する。
この記事でわかること
- ロングライドに明確な定義はないが「100km」が目安である理由
- 距離に対する心理的なハードルの下げ方
- 初心者がロングライドを完走するための5つの具体的なコツ
ロングライドの定義とは【何キロから?】
結論から言おう。ロングライドに万人が認める明確な定義は存在しない。
「何キロ走ったからロングライド」という公式なルールはないのだ。
距離感は人によって異なる

SNSを見渡せば、50kmで「ロングライドをしてきた」という人もいれば、200km走ってようやく「今日はロングライド」という人もいる。
中にはキャノンボール(東京〜大阪間約550km)のような超長距離を走る猛者もおり、彼らにとっては100km程度は「散歩」の範疇かもしれない。
つまり、ロングライドとは「あなたがロングライドだと思える距離」というのが、もっとも真実に近い答えだ。
当ブログにおける基準は「100km」

しかし、「人それぞれ」では話が終わってしまうし、これから距離を伸ばしたい人にとって目標が立てづらい。
そこで本記事では、ロングライドの基準を「100km以上」と定義することにする。
理由は単純明快だ。
100kmという数字は、ロードバイク初心者にとって「脱初心者」を意味する最初の大きな壁であり、登竜門だからである。
桁が2桁から3桁に変わるこの距離を走りきった時、サイクリストとして一つ上のステージに上がったという確かな達成感が得られるはずだ。
100kmロングライドを完走するための5つのコツ
かつてロングライドが苦手だった筆者が、距離を克服し、さらに長い距離を走れるようになる過程で学んだ「100kmを完走するための重要なコツ」を5つ紹介する。
精神論ではなく、物理的・技術的なアプローチが重要だ。
1. ペース配分は「頑張らない」が正解

初心者が最も陥りやすい失敗は、序盤に飛ばしすぎることだ。
体力があるうちは気持ちよくペダルを踏んでしまうが、後半に必ずツケが回ってくる。
ロングライドの鉄則は「頑張らないこと」だ。息が切れるような走りは絶対にしてはいけない。
「こんなにゆっくりでいいのか?」と不安になるくらいのペースを維持し続けることが、結果として完走への近道となる。
2. 空腹を感じる前に食べる(補給)

ロードバイクはカロリー消費が激しいスポーツだ。
ハンガーノック(低血糖状態)になると、体が動かなくなり、思考力も低下する。
こうなると回復に時間がかかり、ライド続行が不可能になることもある。
| タイミング | 摂取すべきもの | 目的 |
| 走行前 | おにぎり、パンなど炭水化物 | ベースとなるエネルギー確保 |
| 走行中 | ジェル、羊羹、パン | 即効性のあるエネルギー補充 |
| 走行後 | タンパク質、炭水化物 | 筋肉の修復と疲労回復 |
ポイントは「お腹が空いた」と感じる前に食べることだ。
1時間に1回など時間を決め、少しずつエネルギーを補給し続けよう。
3. お尻や手の痛みを軽減する装備

長時間サドルに座り続けるロングライドにおいて、お尻の痛みは最大の敵だ。
痛みが酷くなるとペダルを回すことすら苦痛になる。
- パッド付きパンツ: これは必須アイテムだ。下着なしで直に履くタイプが一般的で、股擦れも防止できる。
- グローブ: 路面からの振動は意外と体力を奪い、手のひらの痛みを引き起こす。クッション性の高いグローブを選ぼう。
- タイヤの空気圧: 指定範囲内で少し低めに設定すると、乗り心地がマイルドになり疲労軽減につながる。
4. コース選びは「平坦」を優先する

距離への耐性がないうちに、獲得標高(登りの合計)が高いコースを選ぶのは自殺行為だ。
登坂は平坦路の何倍もの体力を消耗する。
最初の100kmは、河川敷のサイクリングロードや、海岸線沿いなど、可能な限りアップダウンの少ない平坦なコースを選ぶべきだ。
まずは「距離」に対する自信をつけることを最優先にしよう。
5. 距離を分割して考える(メンタル管理)

「あと80kmもある」と考えると絶望的な気分になるが、「次の休憩ポイントまであと20km」と考えれば気が楽になる。
筆者が600kmブルベを走る際も、600kmという数字は見ないようにしている。
「50km先のコンビニ」をひたすら繋いでいくだけだ。
全体を見るのではなく、小さな目標をクリアしていく積み重ねが、結果としてロングライド完走に繋がる。
何キロからロングライドか?よくある疑問(Q&A)

ここでは、ロングライド挑戦に際してよくある不安や疑問に回答する。
Q. パンクしたらどうすればいい?
パンク修理キット(予備チューブ、タイヤレバー、携帯ポンプorCO2ボンベ)は必ず携帯し、出かける前に自宅でチューブ交換の練習をしておくべきだ。
トラブルに対処できる自信があれば、遠くへ行く恐怖心は激減する。
Q. 100km走るのにどれくらい時間がかかる?
信号待ちや休憩を含めると、初心者の場合、平均時速は15km/h〜20km/h程度で計算するのが安全だ。
つまり、100kmなら休憩込みで6時間〜7時間程度を見ておくとよい。
朝出発すれば、夕方には余裕を持って帰宅できる。
Q. どんな自転車でもロングライドは可能?
ママチャリでは厳しいが、クロスバイクやロードバイクなどのスポーツ自転車であれば十分可能だ。
ただ、ドロップハンドルのロードバイクの方が、空気抵抗が少なく、持ち手を変えられるため、長距離になればなるほど有利であることは間違いない。
まとめ:ロングライドという長距離への挑戦は自分のペースで!

本記事のポイントをまとめる。
- ロングライドの定義は人それぞれだが、まずは100kmを目指すのがおすすめ。
- ペース配分、補給、装備を整えれば、誰でも100kmは達成可能。
- 一度に遠くへ行こうとせず、休憩を挟みながら小さな距離を積み重ねる意識を持つ。
ロングライドは誰かと速さを競うものではない。
自分自身との対話であり、新しい景色に出会うための手段だ。
筆者も最初は苦手意識があったが、正しい準備と知識を身につけることで、今では数百キロを走る楽しさを知ることができた。
まずは50km、次は80kmと、無理のない範囲で距離を伸ばしていってほしい。
その先に、100kmという壁を越えた景色が待っているはずだ。




