今回の記事はプロロゴの穴あきサドル、「SCRATCH(スクラッチ) M5 PAS」のレビュー。
2020年、2021年とタデイ・ポガチャルがこれを愛用しツールドフランスを2連覇を成し遂げた。
T型シェイプで自然なペダリングが可能、座面移動も広くできる最軽量クラスのおすすめサドルだ。
さらにPAS(穴あきモデル)であることから、サイクリングの快適性も併せ持つ。
筆者は長距離サイクリングのブルベを中心に「スクラッチM5 PAS」を約3年間使ってきた。
その使用感をメリット・デメリットを紹介できたらと思う。
「スクラッチM5 PAS」を検討している人は、ぜひ最後までチェックしてみてほしい。
おすすめな人
- 最軽量クラスのサドルが欲しい人
- ショートノーズでも座面移動をしたい人
- 現在サドルのせいで、ペダリングがうまくいかない人
- ショートノーズタイプのサドルが好きな人
おすすめできない人
- ブルベのような超長距離ライドをする人
関連記事:「【比較】プロロゴのサドルでロングライド|長距離に適したモデルはどれ?」という記事でプロロゴの各モデルについてまとめているので選考にしてほしい。
プロロゴ スクラッチM5 PASの仕様と購入経緯
まず、「スクラッチM5 PAS」の仕様をみていこう。
スクラッチM5 PASの「仕様」
スクラッチM5 PASは「5製品」ある。
ここで、商品名の「PAS」はプロロゴでは、”穴あき”サドルのことだ。
レールの違いで2種類(カーボン、ステンレス)と、それに座面の滑り止め(CPC)の有無、さらにステンレスレールのみ座面がワイド・パッド5mm増モデル(SPACE)がある。
レールの違い、CPC有無によって重量が変わる。重量はカーボン<ステンレス、さらに無印<CPCの順で重くなる。
SCRATCH M5 PAS | NACK | TIROX | CPC NACK | CPC TIROX | SPACE TIROX |
---|---|---|---|---|---|
レール素材 | カーボン | ステンレス | カーボン | ステンレス | ステンレス |
サイズ | 250×140mm | 同左 | 同左 | 同左 | 250×147mm |
重量 | 132g | 185g | 166g | 207g | 210g |
滑り止め | - | - | 〇 | 〇 | - |
ワイド・パッド増 | - | - | - | - | 〇 |
カラー | 2種類 | 同左 | 同左 | 同左 | 同左 |
定価(税別) | 36,300円 | 19,800円 | 44,000円 | 27,500円 | 19,800円 |
カラーはすべてのモデルにおいて、「HARD BLACK」、「WHITE/BLACK」の2種類展開(いわゆる黒と白)。
なお、穴が空いていない(PASでない)モデルも発売されている。
スクラッチM5 PASの「特徴」
スクラッチM5 PASの特徴としては、以下の点が挙げられる。
- 「Tシェイプ設計」でペダリングパフォーマンス向上
- 分割されたパッド「Multi-Sector System」
- ショートサドルより少し長め
購入経緯
軽量フレーム(S-Works Tarmac SL6)への乗り換えを期に、サドルも軽量な「スクラッチM5 PAS」に交換。
それまでは、SPECIALIZED Power Arcを使用していたが、座面・ペダリングが安定せず筆者には合っていなかった。
SPECIALIZED Power Arcは後方が上方向に反っている形状だ。
そのため、座面移動をよくしている筆者にとっては、尻を落ち着かせる範囲が狭く違和感を感じていた。
そこで、フラットなサドルを探していたところ、「スクラッチM5 PAS」を見つけた。
軽量性も重視しカーボンレールタイプ(NACK)を購入。
あと、ツールドフランスで連勝という実績抜群のこのサドルを試してみたかったもの決めた理由。
スクラッチM5 PASのレビュー
それでは「スクラッチM5 PAS」のレビューを紹介していこう。
- 最軽量クラスのサドル
- 前後にフラットで、座面移動がしやすい
- ペダリングが安定し、内腿が擦らない
- 軽量かつショートノーズでダンシングしやすい
良かった点①実測141gという最軽量クラスのサドル
まず、軽量性がなんといっても大きなメリットだ。
カタログ値132g(実測141g)というサドルの最軽量クラス。
軽量サドルのメリットとして、バイクの振りが軽くなり軽快なライドフィーリングを得られる。
特にダンシングやヒルクライムでは、軽量化による軽快さを感じやすい。
サドルはロードバイクで一番高いところに位置するので、他のパーツの軽量化より軽快感の効果は大きい。
これはサドルバッグの装着有無でライドフィーリングが大きく変わるのと同じ。
よって、最軽量クラスでライドフィーリングを軽快にしてくれるサドルだ。
良かった点②前後にフラットでライド中の座面移動がしやすい
座面移動がしやすいのも、このサドルの特徴だ。
後方が反っているサドル(例えばSPECIALIZED Power)と違い、前後でほぼフラットだからだ。
ヒルクライムでは前方に座る、ロングライド時に使う筋肉を変えるために前後移動するなど。
また、ショートノーズより少し長め(ディメンションより+5mm)である点も、座面移動のしやすさに貢献している。
よって、フラットな形状で座面移動をしやすくライドが快適になった。
良かった点③Tシェイプ設計でペダリングが安定、快適になった
スクラッチM5 PASは、上から見ると中間部分のくびれが大きい。
このTシェイプ設計によって、「快適さ」と「ペダリングパフォーマンス向上」に貢献している。
筆者はペダリングで内股をサドルに擦ってしまっていたが、見事に改善され快適になった。
対して、同メーカーのディメンションはVシェイプ設計で、中間部分のくびれが小さい。
また、「Multi-Sector System」というパッド設計が自然なペダリング・振動吸収に貢献している。
Multi-Sector Systemとは
「Multi-Sector System」とは、ミラノ工科大学と共同開発したパッドシステム。
異なるそれぞれの独立したパッド(5分割)が、ペダリング時の踏み足・引き足の両方で自然な動きを促進。
さらにサドルに伝達する振動を吸収する。
サドル形状は、座骨の形、フィーリング(好み)によってもその人に最適かが異なるが、スクラッチM5 PASは緩めのラウンド形状なので万人受けしやすいだろう。(ディメンションよりラウンド寄り)
以上のようにスクラッチM5 PASは、Tシェイプ設計により自然なペダリングと内腿の擦れ対策に優れている。
良かった点④軽量かつショートノーズでダンシングしやすい
ショートノーズはダンシングがしやすい。
これは、サドル全長が従来のサドルより30mm短いショートノーズ設計のため、ダンシング時にサドル先端に下半身が接触しにくいからだ。
同メーカーのディメンションより5mm長いが、ダンシングのしやすさには影響しない程度だ。
軽量モデルでもあるため、ヒルクライムでのダンシングなどが非常にしやすい。
よって、ヒルクライム等でダンシングを多用するような人にもおすすめだ。
微妙だった点 パッドが薄めかつ、穴あき部ベースが当たって長距離は不向き
ブルベのような長距離サイクリングで、尻の痛みが出やすいと感じた。
パッドは薄めでベースも硬く、さらに穴あき部のベースが股に擦れて痛みが発生した。
このため、200kmを超えるような超長距離サイクリングには向いていなかった。
ただし、100km程度の中距離や、それ以下の数時間のサイクリングでは問題なく快適だ。
なので、超長距離サイクリング(ブルベなど)には、同メーカーのディメンションNDRがおすすめ。
まとめ:スクラッチM5 PASは、最軽量クラスのペダリングが安定するおすすめサドル
今回の記事では極厚パッドを採用した「プロロゴ スクラッチM5 PAS」をレビューした。
- 最軽量クラスのサドル
- 前後にフラットで、座面移動がしやすい
- ペダリングが安定し、内腿が擦らない
- 軽量かつショートノーズでダンシングしやすい
少し長めのショートノーズで座面移動がしやすく、自然なペダリングが可能なおすすめの軽量サドルだ。
その圧倒的な「軽量性」に加え、「自然なペダリング」ができる点もありがたい。
さらにプロチームも採用する実績十分の製品だ。
気になった方は是非チェックしてみてほしい。
穴なしモデルのスクラッチM5はこちら。
プロロゴの他のサドルについては、「【比較】プロロゴのサドルでロングライド|長距離に適したモデルはどれ?」という記事でまとめているので選考にしてほしい。