ロードバイクを手に入れた初心者が次に目指す目標、それが「50km」という一つの大きな指標である。
この距離は、単なるサイクリングから一歩進んだ「ロングライド」の入り口と言えるだろう。
しかし、未知の距離に対する不安や、挑戦しても走り切ることが出来なかった、そんな距離が50kmである。
筆者も最初はそうであった。
本記事では、ロードバイクで50kmを快適に、そして安全に走破するための具体的な準備、走り方のコツ、補給戦略からトラブル対策まで、ロードバイク歴10年の筆者の実体験を交えながら徹底的に解説していく。
この記事を読めば、50kmという距離が、決して乗り越えられない壁ではなく、正しい知識と準備によって十分に達成可能な目標であることが理解できるはずだ。
この記事でわかること
- ロードバイク50kmの難易度と初心者がぶつかる壁
- 50kmを走りきるために必要な装備とアイテム
- 疲れないためのペース配分と走り方のコツ
- 乗り慣れることも重要性とよくある質問への回答
50kmを目指すようになったら、性能のいいサングラスを!
ロードバイクで50kmは初心者にとって確かにきつい!その壁と乗り越え方

ロードバイクにおける50kmという距離は、多くのサイクリストにとって「初心者脱出」を意味する。
ママチャリやクロスバイクで考えると相当な距離に感じるが、ロードバイクの走行性能をもってすれば、決して不可能な距離ではない。
平均的な速度である時速20kmで走行すれば、休憩を含めても3時間程度で到達できる計算だ。
しかし、多くの初心者が50kmの壁に跳ね返されるのも事実である。
その主な原因は、以下の2つに集約される。
- 身体的な痛み: 特に「お尻の痛み」は最大の敵だ。慣れないサドルと前傾姿勢が、体重を一点に集中させてしまう。他にも、手のひらの痺れや首、肩の凝りも発生しやすい。
- 精神的な壁: 「まだ半分もあるのか…」「向かい風が辛い…」といったネガティブな感情が、パフォーマンスを大きく低下させる。特に単独走行では、この精神的な辛さがボディブローのように効いてくる。
筆者も初めて50kmに挑戦した際、お尻が痛くなってサドルに乗りたくなくなり、しばらく動けなくなった経験がある。しかし、お尻が痛くなりにくい対策をすることで、あっさりと50km完走することができるようになった。
正しい知識を身につけ、適切な準備をすることで、誰でも乗り越えることが可能なのだ。
次の章からは、そのための具体的な方法を解説していく。
完走率を劇的に上げる!ロードバイク50km走行の必須準備【装備編】
50kmのロングライドを成功させるためには、機材の準備が重要だ。
「何とかなるだろう」という安易な考えが、のちのトラブルや後悔に繋がる。
ここでは、必須の装備と、あるとライドの快適性が格段に向上するアイテムを分けて紹介する。
絶対に欠かせない必須装備

これらの装備は、安全性と最低限のトラブル対処のために必ず揃えるべきものである。
装備品 | 役割と重要性 |
ヘルメット | 落車時の頭部保護。言うまでもなく最も重要な安全装備である。自分の頭に合ったものを選ぶことが不可欠だ。 |
グローブ | 手のひらの痛みや痺れを軽減する。また、落車時に手を保護する役割も大きい。 |
パンク修理キット | 携帯ポンプ、タイヤレバー、予備チューブの3点セット。パンクはロングライドにおいて最も頻繁に起こるトラブルである。 |
ボトル&ボトルケージ | こまめな水分補給は生命線だ。最低でも1本、夏場は2本装備することを推奨する。 |
ライト(前後) | トンネルや日陰、急な天候悪化に備えて必須。日中でもデイライトとして点灯させることで、他者からの視認性が向上し安全性が高まる。 |
スマートフォン・現金 | 緊急時の連絡手段や、万が一の際の交通費、補給食の購入に必要だ。 |
安全に直結するヘルメットはもちろん着用しているだろうか。
50kmに挑戦するようなら、自分の身を守れるヘルメットは必須。(関連記事は下記)
あるとライドが数倍快適になる便利アイテム

必須ではないが、これらを用意することでライドの質が大きく向上し、50km走破がより楽になる。
アイテム | 役割とメリット |
サイクルコンピューター | 速度、距離、走行時間などを可視化できる。ペース管理に役立ち、モチベーション維持にも繋がる。 |
サイクルウェア | 吸汗速乾性に優れ、体温調節を助ける。パッド付きのレーサーパンツは、お尻の痛みを劇的に軽減してくれる。 |
サングラス | 紫外線、風、ホコリ、虫などから目を保護する。路面の状況を把握しやすくなる効果もある。 |
補給食 | ハンガーノックを防ぐためのエネルギー源。ジェルタイプや羊羹、エナジーバーなどが携帯しやすく便利だ。 |
サドルバッグ | パンク修理キットや補給食などをスマートに収納できる。リュックを背負うよりも体の負担が少ない。 |
とくにサングラスは長く使えるものなので、少し値が張っても良いものをおすすめしたい。(筆者は安物買いの銭失いの経験がある…)
おすすめのサングラスは下記。
筆者の失敗談:準備不足が招いたパンク地獄

筆者はロードバイクに乗り始めて間もない頃、友人と約60kmのサイクリングに出かけたことがある。
その際、「まあ、大丈夫だろう」とパンク修理キットを持たずに出発してしまったのだ。
案の定、目的地まで残り15kmほどの田園地帯で後輪がパンク。 携帯ポンプすら持っておらず、友人もその日はたまたま携帯していなかった。
周囲に自転車店はなく、最寄り駅までも数キロ。
結局、タクシーを呼んで輪行袋もないロードバイクを何とか乗せてもらい、多大な出費と時間を浪費する羽目になった。
この苦い経験以来、どんな距離のライドであっても、パンク修理キットに入れたツールボトルは絶対に外さないことにしている。
ペース配分が鍵!ロードバイク50kmを楽に走るためのテクニック
50kmを楽に走りきるためには、闇雲にペダルを漕ぐのではなく、効率的な走り方を意識することが不可欠である。
特に重要なのが「ペース配分」「ペダリング」の2つだ。
「前半抑えめ、後半維持」が鉄則のペース配分

初心者が最も陥りやすい失敗が、序盤のオーバーペースである。
走り出しは体力が有り余っているため、つい気持ち良くスピードを上げてしまいがちだ。
しかし、これが後半の失速に直結する。
50kmを走りきるためのペース配分の基本は、「自分が楽だと感じるペースを意図的に維持すること」である。
走りながら「会話できる」「鼻歌を歌える」くらいのペースともいえる。
- 平坦路: 時速20〜25km程度を目安にする。息が弾むか弾まないかくらいの強度を保つ。
- 登り坂: 無理に速度を維持しようとせず、軽いギアにしてケイデンス(ペダルの回転数)を維持することを意識する。心拍数が上がりすぎないように注意する。
- 休憩: 1時間に1回、もしくは20kmごとなど、定期的に5〜10分程度の休憩を取る。疲労を感じてから休むのでは遅い。
筆者も調子に乗って前半にアベレージ30km/h近くで飛ばし、35km地点で完全に足が売り切れてしまった経験がある。 残りの15kmは時速15km程度で這うようにして帰宅し、達成感よりも疲労感だけが残った。
常に「まだ余力がある」と感じるくらいのペースで走ることが、結果的に最後まで楽しく走りきるコツなのだ。
「踏む」から「回す」へ。効率的なペダリング

ペダルをただ力任せに「踏む」だけでは、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)ばかりが疲労してしまう。
太ももの前の筋肉は大きなパワーを瞬間的に出しやすいが、一度使い果たしてしまうと回復しづらいという欠点がある。
効率的なペダリングとは、ペダルを円運動として捉え、スムーズに「回す」意識を持つことだ。
- ケイデンスを意識する: 1分間に80〜90回転(rpm)程度を維持するのが効率的とされる。重いギアを踏むよりも、軽いギアをクルクル回すイメージだ。
- お尻の筋肉を使う: お尻の大きな筋肉(大殿筋)を使ってペダルを押し出す感覚を持つと、よりパワフルで持続的なペダリングが可能になる。
- 引き足を意識する: ペダルが一番下を通過してから、後ろから上へとかき上げるように引き上げる意識を持つ(ビンディングペダルが必要)。なお、ビンディングペダルがない場合は、踏まずに回す意識で走ってみよう。
道選びで疲労度は変わる!ロードバイク50kmにおすすめのコース設定

同じ50kmでも、どのようなコースを走るかによって体力的、精神的な負担は大きく異なる。
初心者が50kmに挑戦する際は、コース選びも戦略の一つと考えるべきだ。
- 信号や交通量が少ない道を選ぶ: ストップ&ゴーの繰り返しは、体力を消耗させる大きな要因だ。郊外のサイクリングロードや、交通量の少ない河川敷沿いの道、田園地帯などがおすすめである。
- 獲得標高を意識する: 獲得標高とは、コース全体で登る高さの合計値だ。初心者のうちは、なるべくアップダウンの少ない平坦基調のコースを選ぶのが賢明である。
- 景色が良いルートを選ぶ: 美しい景色は、精神的な辛さを和らげてくれる最高のスパイスだ。海岸線、湖畔、季節の花が咲く道など、走っていて楽しいと感じられるコースを設定しよう。
- コンビニや道の駅の場所を把握しておく: 補給ポイントやトイレ休憩の場所を事前に確認しておくと、安心して走ることができる。万が一のトラブルの際のエスケープポイントにもなる。
- 最初は往復コースから: 初めての50kmでは、自宅から25km地点で折り返してくる往復コースがおすすめだ。道に迷う心配がなく、精神的な安心感が大きい。「あと半分走れば帰れる」という気持ちが、完走への後押しになる。
50kmなら、ロードバイクに慣れてくれば余裕!

これまで、50kmライドで意識する注意点やコツを紹介してきた。
とはいえ、50kmくらいのライドなら、週末にロードバイクを定期的に乗っていれば、意外と簡単に走破できるようになる。
つまり、ロードバイクに乗り慣れることも重要なのだ。
筆者はロードバイク歴10年であるが、初めてロードバイクに乗って1か月後には50kmを余裕で走破できるようになっている。
週末に楽しくて乗るだけでも十分達成できるのだ。
そのうち、50km程度なら普通のライド程度の感覚で走れるようになる。
そのためにも、定期的にロードバイクに乗って、走り慣れよう!さらに距離を伸ばせるようになって、ロードバイクの楽しみがもっと深まる。
これで不安解消!ロードバイク50kmに関するQ&A

ここでは、初心者が50kmライドに挑戦する際によく抱く疑問について回答する。
50km走るのに、時間はどのくらいかかる?
A. 信号や休憩時間、地形によって大きく変動するが、初心者の場合は3時間〜4時間を見ておくと良いだろう。
時速20kmで走り続けた場合、走行時間自体は2時間半である。
これに休憩時間や信号待ちの時間を加味すると、上記の時間がおおよその目安となる。
タイムを競うのではなく、まずは無理のないペースで完走することを目標にすべきだ。
H3: どんな服装で走ればいい?
A. 50kmという距離を「快適に」走るなら、パッド付きのサイクルパンツ(レーサーパンツ)と、吸汗速乾性に優れたサイクルジャージの着用を強く推奨する。
これらは空気抵抗の削減だけでなく、汗による体の冷えを防ぎ、お尻の痛みを大幅に軽減してくれる。
専用ウェアに抵抗がある場合は、パッド付きのインナーパンツの上に動きやすいハーフパンツなどを履くスタイルでも良い。
とはいえ、スポーツをする服装でも十分完走可能ではあるが、お尻の痛みが気になるならサイクルパンツだけでもズボンの下に履いておきたい。
もし途中でパンクしたらどうすればいい?
A. これが、パンク修理キットが必須である理由だ。
事前にYouTubeの動画などでチューブ交換の方法を学んでおくことが重要である。
手順さえ覚えてしまえば、作業自体は15〜20分程度で完了する。
出来れば、何度か自宅で練習しておくと、いざという時に慌てずに対処できる。
どうしても自分で修理できない場合は、近くの自転車店を探すか、家族や友人に連絡、最終手段としてタクシーなどを利用することになる。
H2: まとめ:ロードバイクで50kmを走破し、新たな世界への扉を開こう

ロードバイクにおける50km走破は、単に長い距離を走ったという事実以上の意味を持つ。
それは、適切な準備と知識、そして自身の力で困難を乗り越えたという、大きな成功体験となるのだ。
本記事で解説した、以下のポイントを実践すれば、50kmは決して高い壁ではない。
- 周到な準備: ヘルメットやパンク修理キットなどの必須装備を怠らない。
- 賢明なペース配分: 前半は抑え、常に余力を残して走る。
- 効率的な走り方: 楽なフォームとスムーズなペダリングを意識する。
- 乗り慣れること: なによりもロードバイクに定期的に乗ることが一番の近道だ!
筆者にとって、初めて50kmを走りきった日の達成感は、今でも鮮明に記憶に残っている。 ペダルを漕ぐ足は重かったが、サイクルコンピューターの距離計が「50.0km」を示した瞬間、今まで見たことのない景色が広がったような感覚を覚えた。 この経験が自信となり、いまでは200km、300kmと走れるようになった。
この記事を参考に万全の準備を整え、ロードバイクと共に50km走破、その一歩を踏み出してほしい。
50kmを目指すようになったら、性能のいいサングラスを!