2015年にロードバイクを始め、600kmブルベ完走やSRを取得した筆者が、ショートクランク165mmについて解説する。
クランク長を170mmから165mmへ変更することに興味はあるが、ためらっている人も多いだろう。
結論から言うと、ショートクランク化はロングライドやブルベを楽しむ層に強くおすすめできる。
本記事では、実際に165mmへ交換した筆者のインプレッションや、具体的なメリットを紹介する。
この記事でわかること
- ショートクランク165mmにする4つのメリット
- ショートクランク化に伴うデメリットと注意点
- ポジション変更の具体的な調整方法
- ヒルクライムや100kmライドでの実走レビュー
ショートクランク165mmの結論:ロングライド勢におすすめである

ロードバイクにおけるショートクランク165mm化の結論は、レースをしない週末ロングライド勢にとってメリットが大きいということだ。
クランクを短くするとトルクがかけづらくなり、結果として遅くなるのではないかと心配する人もいる。
確かに、「てこの原理」を考えると短いクランクは重いギアを踏むのには向いていない。

しかし、ロードバイクの速さはトルクだけで決まるものではなく、ケイデンス(ペダルの回転数)との掛け合わせである。
実際に筆者が170mmから165mmに変更して走ってみた結果、巡航速度やヒルクライムのタイムは全く変わらなかった。
速度が落ちない一方で、膝や脚への負担が軽減されるため、長距離を走るほどその恩恵を感じることができる。

自分の体に合ったクランク長を選ぶことは、快適にロードバイクに乗り続けるための重要な基準である。
タイムを極限まで削るスプリンターではない限り、ショートクランクの導入は前向きに検討する価値がある。
170mmからショートクランク165mmへ変更した4つのメリット
筆者はこれまでシマノのDURA-ACEの170mmクランクを使用していたが、今回エライリーの165mmクランクへ交換した。
実際に交換して実走した経験からわかった、4つの明確なメリットについて解説する。
実走して感じたメリット
- ペダリングが崩れにくく、疲れにくい
- 高ケイデンスを維持しやすい
- サドル高が上がり前傾姿勢がとりやすい
- 機材の軽量化につながる
1. ペダリングが崩れにくく疲れにくい

最大のメリットは、長距離を走ったり全力を出し切ったりした後でも、ペダリングが崩れにくいことである。
クランクが5mm短くなるということは、ペダルが一番上にきたときの膝の位置が5mm低くなることを意味する。
さらに、後述するポジション調整でサドルを5mm上げるため、実質的に足の上げ幅はだいたい10mm小さくなる。
この足の上げ幅の減少が、疲労の軽減に大きく貢献している。
ヒルクライムで全力を出し切った後でも、足を高く上げる必要がないため、楽にペダルを回し続けることができる。
たかが5mmの違いだと軽く見ていたが、実際の走りへの影響は想像以上に大きいものであった。
2. 高ケイデンスを維持しやすい

ショートクランクにすると、高いケイデンス(回転数)を楽に維持できるようになる。
回転半径が小さくなるため、同じ速度でペダルを回しても足の動く距離が短くなるからだ。
交換後初めて実走したときのことだが、気づいたときにはケイデンスが100rpmを超えていることが何度もあった。
170mmのときは「速くうまく回さなければ」という意識が必要だったが、165mmでは自然に高回転を維持できる。
ただし、回転数が上がりやすくなるため、心肺機能への負荷が増えるし、今までとはギアチェンジのタイミングや感覚を変える必要がある。
クランク長によって、感覚的に快適だと感じるケイデンスが異なるということを実感した。
上がりやすい心拍数についての関連記事は下記を参照のこと。
3. サドル高が上がり前傾姿勢がとりやすい

クランクを短くすると、サドルを高く設定できるという副次的なメリットがある。
下死点(ペダルが一番下にきたとき)の位置が5mm上がるため、それに合わせてサドル高を5mm上げる必要があるからだ。
サドルが高くなることで、ハンドルとの落差が広がり、より深い前傾姿勢をとりやすくなる。
前傾姿勢が深くなれば空気抵抗を減らすことができるため、向かい風や平坦な道での巡航が楽になる。
見た目の面でも、サドルが高いほうがロードバイク全体がかっこよく見えると感じる人も多いだろう。
4. 機材の軽量化につながる


ショートクランク化は、機材の軽量化という物理的なメリットももたらす。
shimano製クランクはアルミ素材だが、主流のカーボン素材への変更となるからである。
筆者の場合、DURA-ACEの170mmからエライリーの165mmへ交換したことで、約120gの軽量化に成功した。
ロードバイクにおける120gの軽量化は、車体の取り回しや登り坂での軽快感に確実な影響を与える。
ポジション改善と同時に軽量化も図れるのは、非常に効率的なカスタマイズであると言える。
ショートクランク165mm化の3つのデメリットと注意点
ここまでメリットを強調してきたが、ショートクランク化にはいくつかのデメリットや注意点も存在する。
導入を検討する前に、以下の3つのポイントを理解しておくことが重要だ。
実走して感じたデメリット
- トルクがかけづらく漕ぎ出しが重く感じる
- サドルのポジション調整が必須である
- 速く走れるようになるわけではない
1. トルクがかけづらく漕ぎ出しが重く感じる

クランクが短くなることで、てこの原理が働きにくくなり、トルク(踏み込む力)は確実にかかりづらくなる。
信号待ちからのスタート時など、漕ぎ出しの瞬間にペダルが重いような感覚を覚える。
そのため、ゼロ発進時はあらかじめギアを2枚程度軽くしておく、といったことで対策可能だ。
高ケイデンス化は、極端な表現をすれば、子供用の小さな自転車を大人が必死に高回転で回しているような、忙しい感覚に陥ることもある。
また、ダンシング(立ち漕ぎ)のリズムも170mmのときとは変わるため、最初は戸惑うかもしれない。
高ケイデンスでのダンシングはきつく感じるのであれば、ダンシング時のギアをもう1つ重くして対応すればよい。
これらは数回のライドですぐに慣れることができるため、致命的なデメリットとは言えない。
2. サドルのポジション調整が必須である

クランク長を変更した場合、そのままのポジションで乗ることはできず、全体の調整が必須となる。
今回の場合は前述の通りサドル高を5mm上げる必要があるが、それに伴いサドルの前後位置にも違和感が出やすい。
筆者自身も交換後にサドルの前後位置に違和感を覚え、現在も微調整を繰り返している段階である。
また、サドルが上がったことでハンドル落差が深くなり、新しい前傾姿勢に体が慣れるまで少し時間がかかる。
クランクを交換した後は、一度に長距離を走るのではなく、少しずつポジションを煮詰めていく作業が必要だ。
3. 速く走れるようになるわけではない

ショートクランクにしたからといって、ロードバイクで速く走れるようになるわけではない。
これは非常に重要なポイントであり、魔法の機材のように期待しすぎないほうがよい。
クランクを短くしても、ライダー自身の筋力や心肺機能が向上するわけではないからだ。
走り方やペダリングの感覚が変わるだけであり、巡航速度や平均速度が劇的に上がることはない。
あくまで「身体への負担を減らし、楽に長く走れるようにするためのパーツ」として認識すべきである。
ショートクランク165mmの実走インプレッション
ここからは、実際に165mmのショートクランクを導入した筆者の実走インプレッションをお伝えする。
ローラー台、ヒルクライム、そして100kmのロングライドでの具体的な感覚の違いをまとめた。
ローラー台でのファーストインプレッション

交換後、まずは室内ローラー台に乗ってみたが、乗ってすぐにショートクランク化の恩恵を感じることができた。
回転半径が短くなったことで、足がコンパクトに回る「ちょこまかとした感じ」が印象的だった。
サドル高が低く感じたため、すぐに5mm高く調整を行った。
サドルを上げたことでハンドル落差が変わり、ローラー台の上でも前傾姿勢がきつくなったことを実感した。
この段階で、実走ではどのような変化があるのか非常に楽しみになった。
ヒルクライムでの全力走タイムは変わらない

翌日、距屋外実走を行い、ヒルクライムのセグメントを2か所全力で走ってみた。
結果として、2つのセグメントとも170mmのときとほぼ同じタイムであった。(165mmは猛暑日で、暑すぎてちょっと遅い…)
| セグメント | タイム(170/165) | 平均心拍(170/165) | 距離 | 平均勾配 | 標高差 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 7:26/7:35 | 159/165 | 3.30km | 3.1% | 105m |
| B | 16:13/16:18 | 171/170 | 4.15km | 7.2% | 299m |
ショートクランクにしたからといって、登りが速くなるわけでも、逆に遅くなるわけでもないことが証明された。
心拍数のデータを見ても、「セグメントA」では159から165へ、「セグメントB」では171から170へと、大きな変化はなかった。
全力走が辛いことに変わりはないが、登り切った後にペダリングが崩れにくく、すぐに息を整えて回し始められる点に大きなメリットを感じた。
なお、ショートクランク化1か月もたたないうちに、両セグメントの記録を更新できた。ショートクランク化に慣れたことでペダリングが効率化されたと思われる。
100kmライドでは身体への負担軽減を実感した

さらに別の日に100kmのライドに出かけたが、平均速度は以前とほとんど変わらなかった。
しかし、ライド後半の疲労感には明確な違いがあった。
膝の上げ幅が小さくなったことで股関節や膝周りへの負担が減り、100kmを走った後でも足に余裕が残っていた。
レース目的ではなく、週末に景色を楽しみながら長距離を走るスタイルには、この疲労軽減効果は非常にありがたい。
今後は、200km以上のロングライドやブルベでも試してみて、さらに詳しいレビューを行う予定だ。
ショートクランクに関するQA

ロードバイクのショートクランク化に関して、よくある疑問にQ&A形式で回答する。
Q. クランクを短くすると登りで不利になりませんか?
A. てこの原理で踏み込む力は弱くなるが、その分軽いギアを高回転で回しやすくなる。
結果として、ヒルクライムのタイムが極端に遅くなることはなかった。
Q. どんな人にショートクランクはおすすめですか?
A. ペダリング時に膝や股関節に詰まりを感じる人や、長距離ライドでの疲労を少しでも軽減したいロングライダーなどにおすすめ。
Q. 交換後のポジション調整のコツはありますか?
A. クランクを短くした分(今回は5mm)、まずはサドルを同じだけ高くしよう。
その後、実走しながらサドルの前後位置や高さを微調整していくのが確実だ。
まとめ:ショートクランク165mmによって、楽に走れるようになった

本記事では、ロードバイクのクランク長を170mmから165mmに変更するメリットとデメリットについて解説した。
以下に、改めて重要なポイントを表でまとめる。
| 項目 | 170mmクランクとの比較(165mmの特徴) |
| ペダリング | 足の上げ幅が減り、崩れにくく疲れにくい |
| ケイデンス | 100rpm以上の高回転を楽に維持しやすい |
| ポジション | サドル高が5mm上がり、前傾姿勢がとりやすい |
| トルク | かけづらく、漕ぎ出しがやや重く感じる |
| 走行速度 | 平均速度やヒルクライムのタイムは変わらない |
ショートクランクは、決して速く走るための魔法の機材ではない。
しかし、体の負担を減らし、楽に効率よくペダルを回すための非常に有効な手段である。
特に、週末のロングライドや過酷なブルベを楽しむサイクリストにとっては、試してみる価値が十分にある。
「ショートクランク」という言葉にとらわれず、自分の体格や乗り方に合ったクランク長を選ぶことが何よりも大切だ。
本記事が、クランク交換に悩むサイクリストの参考になれば幸いである。

