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【ブルベで検証】スクワートチェーンルブのインプレ!4つのメリットと3つの注意点を徹底解説

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スクワート(Squirt)のチェーンルブは、ワックスベースのケミカルとして多くのサイクリストから絶大な支持を得ている製品だ。

「とにかく汚れない」「駆動音が静かになる」といった評判を耳にしたことがあるだろう。

筆者は2015年にロードバイクを始め、今ではブルベで600kmを走るほどロングライドにのめり込んでいるが、このスクワートは長年の相棒でもある。

過酷なブルベという環境でこそ、その真価は発揮されるのだ。

今回は、SR(シューペル・ランドヌール)を取得する過程で筆者が数百、数千キロと走り込んで検証した「スクワート チェーンルブ」のリアルなインプレッションをお届けする。

メリットだけでなく、シビアな注意点や失敗談まで、余すところなく解説していこう。

この記事でわかること

  • スクワートチェーンルブの基本的な特徴と仕組み
  • ブルベなど過酷なロングライドでのリアルな使用感
  • 性能を100%引き出すための正しい使い方と注意点
  • 導入を迷っている人向けのメリットとデメリット

スクワート チェーンルブとは?基本的な特徴を解説

結論から言うと、「スクワート チェーンルブ」は「水とワックス」でできた、今までの常識を覆すチェーンルブである。

従来のオイル系ルブとは全く異なるアプローチで、ドライブトレインをクリーンかつ静かに保つのが最大の特徴だ。

水性エマルジョンワックスという独自の仕組み

スクワートの正式名称は「Squirt Long Lasting Dry Lube」だ。

その名の通り、ドライタイプのルブに分類される。

しかし、一般的なドライルブが速乾性の溶剤に潤滑成分を混ぜているのに対し、「スクワート チェーンルブ」は水に微細なワックス粒子を混ぜ込んだ「水性エマルジョン」という形態をとっている。

これをチェーンに塗布すると、まず水分が蒸発する。

そして、チェーンのリンク内部にワックスの潤滑膜が形成される仕組みだ。

このワックス膜が潤滑層となり、金属同士の摩擦を低減させる。

また、主成分が水とワックスであるため、生分解性が高く環境に優しいという側面も持っている。

他のチェーンルブとの違い

チェーンルブには様々な種類があるが、「スクワート チェーンルブ」がどの位置付けになるのか、代表的なルブと比較してみよう。

種類スクワート チェーンルブウェットルブドライルブ (オイル系)
主成分水、ワックスオイル、粘着添加剤溶剤、オイル、テフロン等
汚れにくさ◎:非常に汚れにくい×:汚れを吸着しやすい〇:比較的汚れにくい
持続性〇:比較的高い◎:非常に高い△:低い
耐水性△:雨で流れやすい◎:雨に強い×:雨で流れやすい
静粛性◎:非常に静か〇:静か〇:静か
メンテナンス性〇:重ね塗りが基本×:脱脂洗浄が必須△:定期的な洗浄推奨

表を見ればわかる通り、「スクワート チェーンルブ」は「汚れにくさ」と「静粛性」で圧倒的に優位だ。

その一方で、「耐水性」はウェットルブに軍配が上がる。

この特性を理解することが、「スクワート チェーンルブ」を使いこなす第一歩となる。

【インプレ】筆者が600kmブルベで実感したスクワート チェーンルブ 4つのメリット

机上のスペックも重要だが、肝心なのは実際のライドでどうなのか、という点だ。

ここでは、筆者がブルベという過酷なロングライドの現場で感じた、「スクワート チェーンルブ」の具体的なメリットを4つ紹介する。

メリット1: 圧倒的な汚れにくさ!ドライブトレインは常にピカピカ

スクワート チェーンルブ」の最大のメリットは、これに尽きる。

本当に、チェーンが汚れないのだ。 ウェットルブのように、砂やホコリを吸着して黒いペースト状になることが一切ない。

数百キロ走った後でも、チェーンは銀色の輝きを保っている。

これは、ロングライドにおいて精神衛生上、非常によい。

筆者はブルベで輪行することも多いが、バイクを分解・組み立てする際に手が真っ黒になるストレスから解放された。

また、走行中にチェーンが外れるなどのトラブルがあっても、素手で対応できる手軽さは大きなアドバンテージだ。

ウェアの裾やふくらはぎに、あの忌まわしい「チェーンリングのタトゥー」が付くこともなくなった。

ドライブトレインが綺麗なだけで、ライド全体の質が向上すると言っても過言ではない。

メリット2: 驚くほどの静粛性とスムーズな駆動感

スクワート チェーンルブ」を正しく施工したバイクで走り出すと、誰もがその静かさに驚くはずだ。

「シャー」というチェーンの摩擦音がほぼ無音に近くなり、聞こえるのはタイヤのロードノイズと風切り音だけになる。

この静粛性は、特に数百キロを走り続けるブルベで真価を発揮する。 絶え間なく続くノイズは、知らず知らずのうちにサイクリストの集中力と体力を奪っていくからだ。

静かなドライブトレインは、ペダリングに集中させ、精神的な疲労を大幅に軽減してくれる。

また、ワックスによる潤滑は非常にスムーズで、変速もスパッと決まる。

ペダルを通じて伝わる抵抗感が少なく、パワーをロスなく推進力に変換できている感覚がある。

このスムーズな駆動感も、長距離でのアドバンテージとなる。

メリット3: 意外と高い持続性 - 200kmは余裕、追加塗布で600kmも

「ドライルブは持続性が低い」というのが一般的な認識だろう。

しかし、「スクワート チェーンルブ」はその常識を覆す。

筆者の経験では、晴天の舗装路であれば、一度の塗布で200kmは余裕で走り切れる。

実際、200kmブルベであれば、スタート前に塗布するだけでゴールまでノートラブルだ。

600kmブルベのような、さらに長い距離ではどうだろうか。

さすがに一度の塗布で走り切るのは難しい。

筆者の場合、おおよそ300km~400km地点で、チェーンからわずかに「チリチリ」という音が聞こえ始める。

これが追加塗布のサインだ。

携行したミニボトルの「スクワート チェーンルブ」をチェーンに一回り塗布し、数分間馴染ませるだけで、また静粛性が復活する。

この手軽な追加メンテナンスで、600kmという長丁場も問題なく乗り切ることが可能だ。

ウェットルブのように、出先でクリーナーとウエスを使って古い油を拭き取る必要はない。

メリット4: 簡単なメンテナンス性 - 掃除の手間が激減

スクワート チェーンルブ」を使い始めて最も変わったのは、ライド後のメンテナンスだ。

オイル系ルブを使っていた頃は、ライドのたびにチェーンやスプロケット、プーリー周りをディグリーザーで洗浄する必要があった。

これは非常に手間のかかる作業だ。

しかし、「スクワート チェーンルブ」の場合、基本的には「重ね塗り」でメンテナンスが完了する。

走行すると、汚れた古いワックスが乾燥して白いカスとなり、自然に剥がれ落ちていく。

ライド後は、残ったワックスのカスをブラシで軽く払い落とし、新しいスクワートを塗布するだけでよい。

面倒なチェーン洗浄の頻度が劇的に減り、ライドそのものに使える時間が増えた。これは大きなメリットである。

【失敗談から学ぶ】スクワート チェーンルブの性能を100%引き出すための3つの注意点

ここまでメリットばかりを強調してきたが、「スクワート チェーンルブ」は魔法のルブではない。

その性能を最大限に引き出すには、いくつかの重要な「お作法」が存在する。

これを怠ると、「話が違うじゃないか!」ということになりかねない。

筆者の失敗談を交えながら、3つの重要な注意点を解説する。

注意点1: 最重要!最初の「完全な脱脂」を怠るな

これは「スクワート チェーンルブ」を使う上で、最も重要かつ、多くの人が失敗するポイントだ。

初めてスクワートを使うチェーンは、工場出荷時のグリスや、以前使っていたオイルを「完璧に」除去する必要がある。

少しでも油分が残っていると、水性のスクワートが弾かれてしまい、ワックスが金属に定着しないのだ。

筆者も最初の頃、これを甘く見ていた。

「パーツクリーナーでサッと拭けばいいだろう」と安易に考え、スクワートを塗布して走り出した。 結果は悲惨なものだった。数十キロも走らないうちにチェーンは真っ黒になり、ワックスのカスと残っていたオイルが混ざって、ネバネバの塊がディレイラー周りに付着した。 これでは、ウェットルブを使っているのと変わらない。

脱脂方法

  • 新品チェーンでも必須: 新品のチェーンも、錆止めの粘度の高いグリスでベッタリと覆われている。これも完全に除去する必要がある。
  • ディグリーザーに漬け置き: チェーンを外し、強力なディグリーザーを満たした容器に数時間漬け置くのが最も確実だ。シェイクするとさらに効果的。
  • 煮沸洗浄(チェーンフィズ): 専用の薬剤を溶かしたお湯でチェーンを煮る「煮沸洗浄」も非常に効果が高い。
  • 徹底的なすすぎと乾燥: 脱脂後は、水でディグリーザーを完全に洗い流し、水分を完全に乾燥させることが重要だ。

この初期の儀式さえ乗り越えれば、快適なスクワートライフが待っている。

注意点2: 雨天走行での耐久性は過信禁物

スクワート チェーンルブ」の明確な弱点、それは「水」である。

水性のワックスであるため、長時間の雨天走行では潤滑膜が流れ落ちやすい。

筆者も、雨のブルベで痛い目に遭ったことがある。 降り始めは問題ないが、数時間雨に打たれ続けると、明らかにチェーンの駆動音が大きくなり、やがて「ギャリギャリ」という悲鳴のような音に変わった。

潤滑が完全に切れ、チェーンとスプロケットが直接削れている音だ。

こうなると、精神的にも機材的にもダメージが大きい。

雨天時の対策

  • 予備ルブの携行: 雨が予想されるライドでは、必ずミニボトルのスクワートを携行する。音が鳴り始めたら、こまめに追加塗布することで、ダメージを最小限に抑えられる。
  • ウェットルブへの変更: もし一日中雨の中を走ることが分かっているなら、潔くウェットルブを選択するのも賢明な判断だ。
  • 低温用モデルの活用: スクワートには低温・ウェットコンディション向けの「Squirt Low-Temp Chain Lube」も存在する。こちらは粘度が高く、通常モデルより耐水性が向上しているため、冬場や雨天の選択肢として有効だ。

注意点3: 塗布後の「完全な乾燥」が性能の鍵

スクワート チェーンルブ」は、塗布してすぐに走り出すことはできない。

前述の通り、水が蒸発してワックスの膜が形成されるまでに時間が必要だからだ。

この乾燥時間を確保しないと、液体状のルブが遠心力で飛び散ってしまい、十分な潤滑性能が発揮されない。

ブルベの朝、スタート前に慌てて塗布して走り出したことがあるが、いつもより早く音が鳴り始め、持続性が明らかに低かった。

理想は、ライド前日の夜に塗布し、一晩かけてじっくり乾燥させることだ。

最低でも、塗布後1時間程度は乾燥時間を設けたい。

ライドの計画に、この「ルブの乾燥時間」を組み込んでおく必要がある。

スクワート チェーンルブの正しい使い方【5ステップ】

ここまでの内容を踏まえ、「スクワート チェーンルブ」の性能を100%引き出すための施工手順をまとめる。

  1. ステップ1: チェーンの完全脱脂
    • 初めて使用する場合、またはオイル系ルブから切り替える場合は、チェーン、スプロケット、チェーンリング、プーリーを徹底的に脱脂する。チェーンは取り外して洗浄するのが理想だ。
  2. ステップ2: チェーンの完全乾燥
    • 洗浄後、ウエスで水分を拭き取り、完全に乾燥させる。コンプレッサーなどがあれば効率的だ。
  3. ステップ3: ルブをよく振る
    • ボトル内でワックス成分が沈殿していることがある。使用前によく振って、中身を均一に攪拌する。
  4. ステップ4: チェーンのコマ一つ一つに塗布
    • チェーンの内側(スプロケットと接触する側)の、ローラー一つ一つに一滴ずつ丁寧に塗布する。外側に塗る必要はない。全体に塗布したら、クランクを逆回転させてルブを馴染ませる。
  5. ステップ5: ルブの完全乾燥
    • 余分なルブは拭き取らず、そのままの状態で完全に乾燥させる。最低1時間、理想はライド前夜に作業を終え、一晩置くこと。

スクワート チェーンルブに関するQ&A

ここでは、読者が抱きやすいであろう疑問について、Q&A形式で回答する。

Q1. 塗布する頻度は?

A1. 走行環境によるが、一つの目安として「音が鳴り始めたら」が追加塗布のサインだ。

晴天の舗装路であれば、200km~300km毎の塗布で十分な性能を維持できる。

ライド後に毎回塗布する必要はないが、チェーンから少し音が聞こえ始めたら、次のライドの前に塗布するとよいだろう。

Q2. 他のルブから切り替える時の注意点は?

A2. とにかく「完全な脱脂」に尽きる。

中途半端な脱脂は、「スクワート チェーンルブ」の性能を著しく損なうだけでなく、オイルとワックスが混ざった最悪の汚れを生み出す原因となる。

スプロケットやプーリーの歯の隙間まで、徹底的に綺麗にすることが重要だ。

Q3. ワックスの黒いカスがすごいって本当?

A3. これは事実であり、同時に「スクワート チェーンルブ」が正しく機能している証拠でもある。

走行中にチェーン内部から押し出された汚れを、ワックスが絡め取って固まり、カスとして排出しているのだ。

この自浄作用こそが、チェーンを綺麗に保つ秘訣である。

カスはディレイラーのプーリー周りに溜まりやすいが、ライド後にブラシで払うだけで簡単に除去できる。

汚れではないので心配は無用だ。

Q4. コストパフォーマンスはどう?

A4. 「スクワート チェーンルブ」のボトル1本の価格は、他の高級ルブと同程度か、やや高価に感じるかもしれない。

しかし、一度の塗布で長距離を走れる持続性の高さと、ディグリーザーなどの洗浄ケミカルの使用頻度が激減することを考慮すると、トータルでのコストパフォーマンスは決して悪くない。

何より、メンテナンスにかかる時間と手間という「プライスレスな価値」を大幅に削減できる。

まとめ:スクワート チェーンルブはこんなサイクリストにおすすめだ!

改めて結論を述べよう。

スクワート チェーンルブ」は、いくつかの明確な弱点と、守るべき作法が存在する、少し癖のある製品だ。

しかし、その特性を正しく理解し、使いこなすことができれば、これ以上ないほどの快適なサイクルライフを提供してくれる。

スクワート チェーンルブ」は、以下のようなサイクリストにこそ強くおすすめできる。

  • ドライブトレインを常に美しく保ちたい人
  • チェーンのノイズを極限まで減らし、静かな走りを楽しみたい人
  • ライド後の面倒なチェーン洗浄から解放されたい人
  • 筆者のような、ロングライドやブルベで機材トラブルのリスクとメンテナンスの手間を減らしたい人

初期投資としての「徹底的な脱脂」という手間を惜しまず、雨天時の弱さを理解した上で運用できるのであれば、「スクワート チェーンルブ」はあなたのライド体験を間違いなく向上させてくれるだろう。

あの静かでスムーズな駆動感と、いつでも綺麗なドライブトレインは、一度味わうと元には戻れない魅力を持っているのだ。

  • この記事を書いた人

ミル

ロードバイク歴10年の週末ソロライダー。 ロングライドが苦手だったが、今はブルベを楽しんでいる。2022年SR取得。 ロングライドに挑戦する人を応援したい。 にほんブログ村

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