ロードバイクに憧れて乗り始める人は多い。
しかし一方で「ロードバイクは危ない」と感じている人も少なくない。
実際、スピードが出やすく車道を走ることも多いロードバイクにはリスクが伴う。
筆者はロードバイク歴10年で、「危ない」「ヒヤリ」とした経験がある。
本記事では、ロードバイクのどこが危ないのか、事故やトラブルを防ぐにはどうすべきかを、具体的なデータや体験談を交えて解説する。
この記事でわかること
- ロードバイクが「危ない」と言われる理由
- 実際に起きたロードバイク事故の事例
- 安全に楽しむための対策
- 筆者の体験談(ヒヤリとした落車)
ヘルメットを3年以上使っているなら交換時期だ。ヘルメットは衝撃を受けていなくても性能は落ちるので、定期的に買い替えよう!
ロードバイクが「危ない」と言われる理由

1. 車道走行による交通事故のリスク
自転車は原則として車道走行が義務付けられている。
国土交通省の調査によれば、自転車事故の約6割が交差点で発生しており、その多くが車との接触事故である。
車道を走行するロードバイクは、自動車との速度差や視認性の問題から特にリスクが高い。
2. 高速走行による単独事故
ロードバイクは軽量で空気抵抗も少なく、時速30km以上で走ることも珍しくない。
しかしその反面、段差やグレーチング(排水溝)などの路面の変化に弱い。
ハンドル操作を誤ればすぐに転倒する恐れがある。
特に初心者はブレーキングやコーナリングに不慣れなため、単独事故を起こしやすい。
3. 装備不足による危険性
ロードバイクは「軽さ」が重視されるため、ライトやベル、ミラーなどの安全装備を省略しがちだ。
しかし視認性が悪い状態で夜間に走行するのは極めて危険である。
加えて、ヘルメットやグローブの未着用も事故時の致命傷に繋がる。
実際に起きているロードバイク事故の事例

4つの事故事例を紹介しよう。
事例1:交差点での左折車との接触事故
警察庁の統計(令和5年)によると、自転車事故の約60%が交差点で発生している(※1)。
実際に都内で発生した事故では、ロードバイクで直進中の男性(時速30km以上)が、左折しようとした乗用車と接触。
ヘルメット未着用だったため頭部を強打し、意識不明の重体となった。
スピードの出しすぎと交差点での視認性の悪さが主な原因である。
優先道路であっても、交差点では減速・左右確認が必要不可欠だ。
【出典:※1 警察庁 令和5年中の交通事故の発生状況】
事例2:下り坂でのスリップ転倒による重傷
国土交通省の調査によれば、単独事故の多くが「速度過多」と「不適切なブレーキング」によって発生している(※2)。
栃木県の峠道で起きた事故では、時速50km以上で下りを走行していたロードバイクが、カーブ手前の砂利でスリップ。
転倒後にガードレールへ激突し、鎖骨と肋骨を複雑骨折した。
スピードが出やすい下りでは、減速と進行ラインの見極めが生死を分けることになる。
【出典:※2 国土交通省 自転車の安全利用の促進】
タイヤが消耗しているとタイヤ本来の性能が引き出せない。タイヤ交換時期はこちらの記事で。
事例3:無灯火の夜間走行中に追突される
JAFの視認性実験によると、黒いウェアで無灯火の自転車は、ドライバーから「約25mまで視認できない」ことが判明している(※3)。
実際、郊外で夜間走行中だったロードバイク利用者が、リアライトを点灯せず、黒のジャージを着用していたため、後方から来た乗用車に追突された。
肋骨を骨折し全治2か月の重傷。ライト未装着と視認性の軽視が事故を招いた典型例である。
【出典:※3 JAF 夜間の自転車視認性実験】
テールライト・リアライトはしっかり装備しているだろうか。こちらの記事でおすすめの製品を紹介している。
反射材・リフレクターも後続車へのアピールに有効!
事例4:集団走行中の前輪接触による多重落車
複数名で走るグループライド中の事故も多発している。
自転車活用推進研究会の報告では、「前走者との車間不足による接触・転倒」が事故の主原因の一つとされる(※4)。
千葉県の事例では、下り坂で急ブレーキをかけた先頭者に後続が対応できず、前輪が接触。
そのまま3名が転倒し、1名は手首骨折、他2名も擦過傷を負った。
集団走行では、ハンドサインや声掛け、十分な車間距離が絶対に必要だ。
【出典:※4 自転車活用推進研究会 安全報告書(PDF)】
危険を回避するためにできる対策

とはいえ、安全にロードバイクを楽しみたいもの。
以下に事故の危険性をなるべく下げられる対策を紹介する。
1. 車道を走る際の「ポジショニング」を意識する
車道を走る際は、路肩ギリギリを走らず、やや車道中央寄りの「ドライバーの視界に入りやすい位置」をキープすることが重要だ。
これにより、巻き込みや右左折時の接触事故を防ぎやすくなる。
2. ライト・テールライト・反射材を必ず装着する
昼間でもトンネルや日陰では視認性が下がるため、常にライトとテールライトは点灯させる。
被視認性が高ければ、ドライバーが早めに気づいて回避行動を取ることができる。
夜間は反射材付きのウェアやサドルバッグも効果的だ。
3. ヘルメットとグローブは命を守る装備
ヘルメット未着用時の致死率は、着用者と比較して約3倍に跳ね上がるというデータもある。
どれだけ短距離でも、必ずヘルメットは装着すべきだ。
また、グローブをしていないと転倒時に手を地面で擦りむく危険がある。
4. ブレーキングとコーナリングの練習をする
初心者ほど「急ブレーキ」「イン側に切り込みすぎ」などの危険な操作をしがちだ。
交通量の少ない場所で、安全なブレーキングやコーナリングを繰り返し練習しておくと、いざという時に正しく反応できる。
筆者の体験談:ヒヤリとした瞬間とその後の対策

筆者は派手に落車してヒヤリとした経験がある。
峠越えのダウンヒルで、カーブの先に石が散らばっていて、ブレーキ・回避できずに乗り上げてしまい、前輪パンク。
大きくタイヤカット、チューブ破裂したため一瞬で空気が抜けて、45km/hの速さのまま落車した。
右半身の擦過傷(ウェアはボロボロ)、ヘルメットは割れるまでいかなかったがもう使えないまで損傷してしまった。
転び方が良かったせいか、幸いにも骨折などはなかった。
この苦い経験から、それ以降、以下のことに注意している。
- ダウンヒルでは速度を出し過ぎない
- ヘルメットは定期的に取り替える(3年程度)
石が路上に散らばっていた理由は、前日の大雨によるものだった。
ロードバイクで落車はほとんどしたことがなかったが、それ以来かなり慎重にライドしている。
よくある質問(FAQ)

Q. ロードバイクを夜間に乗っても大丈夫?
A. 装備が整っていれば可能。ただしライト・反射材の装着と、交通量の少ない道を選ぶことが前提条件だ。
Q. 高校生や初心者がロードバイクに乗っても危なくない?
A. 正しい知識と装備があれば問題ない。ただし初めは必ず交通量の少ないエリアで練習すべきである。
Q. ロードバイクは何キロくらいスピードが出るの?
A. 平地で30km/h、下りで50km/h以上出ることもある。速度が出る分、危険回避の意識も重要になる。
まとめ:危険性を知れば、ロードバイクはもっと安全に楽しめる

ロードバイクは確かに危険を伴う乗り物だ。
しかしその危険性は、正しい知識と対策で十分に軽減できる。
車道走行のリスク、高速走行による単独事故、装備不足が原因となる危険性をしっかり理解しよう。
そのうえで、安全なポジション取り、装備の徹底、操作技術の習得を意識すれば、安心してロードバイクライフを楽しむことができる。
危険を避ける意識こそが、安全への第一歩である。
ヘルメットを3年以上使っているなら交換時期だ。ヘルメットは衝撃を受けていなくても性能は落ちるので、定期的に買い替えよう!