ロードバイクで風を切って走る爽快感は、何物にも代えがたいものである。
しかし、多くのサイクリストが経験するであろう不快な現象、それが「サングラスへの風の巻き込み」だ。
走行中に目が乾く、涙が止まらない、小さな虫やホコリが目に入ってしまい、ヒヤリとした経験はないだろうか。
これは単に不快なだけでなく、視界の悪化や集中力の低下を招き、重大な事故につながりかねない危険な状態である。
筆者も長年この問題に悩まされ、様々なサングラスを試してきた。
この記事では、風の巻き込みがなぜ起こるのか、そのメカニズムから、ロードバイク歴10年の筆者の実体験に基づいた具体的な対策、そして最終的な解決策となり得るサングラスまでを、網羅的に解説する。
この記事でわかること
- サングラスの風巻き込みが引き起こす具体的な危険性
- 風がサングラスに巻き込む根本的な原因
- 今日から実践できる風巻き込みの対策
- 風巻き込み対策に最適なサングラスの選び方と具体的なモデル
風の巻き込みを防止できる調整機能がある「ALTALIST KISOU ATR」は、コスパも良くておすすめ。
ロードバイクでサングラスの風巻き込みが引き起こす深刻な問題
たかが風の巻き込みと侮ってはいけない。
サイクリストの安全性を低下させる、無視できないいくつかの問題を引き起こすのだ。
問題点①目の乾きと疲労、そしてパフォーマンスの低下

走行風が直接目に当たり続けると、涙が蒸発し、いわゆるドライアイの状態になる。
目が乾くと、しょぼしょぼしたり、ゴロゴロとした異物感を感じたりする。
これを放置すれば、目の表面が傷つく角膜障害につながる恐れもあるのだ。
筆者も過去に、ロングライドの終盤で目の乾きがひどくなり、視界がかすんでしまった経験が何度もある。
こうなると、路面の状況判断が鈍り、ペダリングに集中できなくなる。
結果として、パフォーマンスは著しく低下し、ライドそのものを楽しめなくなってしまう。
快適なサイクリングのためには、目の健康を維持することが絶対条件なのである。
問題点②異物混入による危険性

サングラスと顔の隙間は、風だけでなく、小さな虫や砂、ホコリなどの異物の侵入経路にもなる。
高速走行中に突然、目に異物が入ることを想像してみてほしい。
激痛で目が開けられなくなり、ハンドル操作を誤る可能性は非常に高い。
片手運転で目をこすりながら走行するなど、危険極まりない行為だ。
特に、集団走行中やダウンヒル中であれば、一瞬の判断ミスが自分だけでなく、周囲の仲間を巻き込む大事故につながる。
サングラスは本来、こうした飛来物から目を守るためのプロテクターであるはずだ。
しかし、フィットしていないサングラスは、その役割を十分に果たせないのである。
問題点③集中力の散漫が招く事故のリスク

ひっきりなしに風が目に当たったり、涙が出続けたりする状況では、ライディングへの集中力を維持することは困難だ。
「目が気になる」という意識が、前方への注意やペダリング、交通状況の確認といった、本来向けるべきリソースを奪っていく。
ロードバイクは、常に周囲の状況を認知し、次の展開を予測しながら走るスポーツである。
集中力が散漫になれば、路面の穴や障害物の発見が遅れたり、急な歩行者の飛び出しに対応できなかったりする。
風の巻き込みは、快適性を損なうだけでなく、安全運転のための集中力を低下させる脅威なのだ。
なぜ?ロードバイク用サングラスで風を巻き込む主な原因
多くのサイクリストを悩ませる風の巻き込みは、なぜ発生するのだろうか。
その原因は、主に顔とサングラスの間に生まれる「隙間」と、サングラス自体の「形状」にある。
原因①顔とサングラスの間に生まれる「隙間」

風の巻き込みが起こる最大の原因は、顔の凹凸とサングラスのフレームが完全にフィットせず、そこに隙間ができてしまうことだ。
走行中の空気は、この隙間からサングラスの内側へと侵入し、渦を巻くように目に吹き付ける。
特に問題となる隙間は、以下の3箇所である。
- 額とフレーム上部の隙間: ライディングポジションで前傾姿勢をとると、顔の正面から来た風は額に当たり、そのまま下方向へ流れる。このとき、額とサングラスのフレーム上部に隙間があると、風はそこからいとも簡単に内側へ侵入する。ここが最も風を巻き込みやすいポイントだ。
- 頬とレンズ下部の隙間: 笑ったり、顔の筋肉が動いたりすることで、頬とレンズの下側にも隙間ができやすい。ここから侵入した風は、下から上へと吹き上げ、目を乾かす原因となる。
- こめかみとテンプルの隙間: 顔の幅とフレームの幅が合っていない場合、こめかみ付近にも隙間ができる。ここからの風は、目の横から回り込むように吹き付けてくる。
これらの隙間は、ほんの数ミリであっても、高速で走行するロードバイクにおいては、大量の風を呼び込む侵入口となってしまうのである。
原因②サングラスの形状とフィット感の問題

顔の形状は千差万別であるため、どんな人にでも完璧にフィットするサングラスというものは存在しない。
特に、欧米人向けのモデルをアジア系の顔立ちの人が着用した場合、フィット感に問題が生じやすい。
- レンズのカーブが顔に合っていない: レンズの湾曲度合い(レンズカーブ)が、顔のカーブと合っていないと、顔の両サイドに大きな隙間ができてしまう。一般的に、レンズカーブが強い(数字が大きい)モデルほど、顔を覆う面積が広くなり、風の侵入を防ぎやすいとされる。しかし、これも顔の形状に合っていることが大前提だ。
- フレームが顔幅に対して広すぎる、または狭すぎる: 顔幅に対してフレームが広すぎると、こめかみ部分に隙間ができ、風を巻き込みやすくなる。逆に狭すぎると、テンプルがこめかみを圧迫して痛みを生じさせたり、サングラスが顔から浮き上がってしまったりする原因になる。
- 調整機能が不十分: 特に重要なのが、ノーズパッドの調整機能である。鼻の高さや形状に合わせてノーズパッドを調整できないモデルは、顔とレンズの距離を最適化できず、隙間が生まれやすい。欧米ブランドに多い固定式のノーズパッドは、鼻が低めの日本人にはフィットしにくい傾向がある。
なお、後述する風の巻き込みを防げたサングラスは、ノーズパッドの調整機能だけでなく、もう一点、他モデルにあまり見ない調整箇所がある。
原因③走行速度と風向きの影響

当然ながら、走行速度が上がるほど、風の巻き込みは顕著になる。
時速30km/hを超えるような巡航や、ダウンヒルでは、サングラス内に侵入する風の量と勢いが増大する。
また、向かい風だけでなく、横風も厄介だ。
斜め前方から吹く風は、サングラスの隙間を狙って侵入しやすく、片方の目だけが集中して攻撃されるような状況も起こり得る。
今すぐできる!ロードバイクのサングラス風巻き込み対策
原因がわかれば、対策も見えてくる。
ここでは、新しいサングラスを購入する前に、今すぐ試せる対策と、サングラス選びの根本的な見直しについて解説する。
対策①:着用方法の見直し

手持ちのサングラスでも、少しの工夫で風の巻き込みを軽減できる場合がある。
額とサングラスの隙間をなくす意識
最も効果的なのが、サングラスをできるだけ顔に近づけ、特に「額とフレーム上部の隙間」をなくすように着用することだ。
サングラスを少し持ち上げるようにして、眉毛にフレームが触れるか触れないかくらいの位置でかける。
そして、ノーズパッドを鼻にしっかりとフィットさせるのだ。
これだけで、上からの風の侵入を大幅に防ぐことができる。
ただし、これを行うとレンズとまつ毛が接触したり、レンズが呼気で曇りやすくなったりするデメリットもあるため、バランスが重要である。
ノーズパッドが交換可能なモデルであれば、それも検討してみると良い。アジアンフィットのノーズパッドが別売りでラインナップされている場合がある。
サイクルキャップの活用
サイクルキャップを装着するのも有効だ。
額から流れる汗がレンズに垂れるのを防ぐだけでなく、キャップのつばが額へ流れ込む風避けの役割を果たしてくれる。
これにより、上部からの風の侵入を和らげる効果が期待できる。
筆者はロングライドやブルベなど長距離ライドの場合は、風避けのためにサイクルキャップを必ず着用している。なお、降雨の際の雨避けにもなる。
対策②:サングラス選びの根本的な見直し

着用方法の工夫で改善しない場合は、サングラスそのものが顔に合っていない可能性が高い。
根本的な解決のためには、自分の顔にフィットするモデルを選ぶことが不可欠だ。
以下のポイントを重視して、サングラスを選び直すことを推奨する。
注目ポイント | 解説 |
レンズのカーブ | 顔の凹凸に沿うような、カーブの強い(ハイカーブ)レンズを選ぶ。顔を覆う面積が広がり、横からの風の侵入を防ぎやすい。 |
フレーム形状 | 顔を大きく覆う、一眼シールドタイプのモデルが有利だ。上下左右の隙間が生まれにくく、防風性能が高い。 |
フィットシステム | 「アジアンフィット」と表記されたモデルを選ぶ。アジア人の骨格に合わせて設計されているため、フィットしやすい。 |
調整機能の有無 | 最も重要なポイント。 鼻の高さや幅に合わせて調整できる「アジャスタブルノーズパッド」は必須。テンプル(つる)の角度や長さを調整できるモデルであれば、さらに完璧なフィット感が得られる。 |
風の巻き込み対策の決定版!調整機能で隙間をなくす「ALTALIST KISOU ATR」
様々な対策を講じても、なかなか完璧なフィット感が得られない。
そんな悩みを抱えるサイクリストに、筆者が最終的にたどり着いた一つの答えがある。
それが、アイウェアブランド「ALTALIST(アルタリスト)」の「KISOU ATR」というモデルだ。
「ALTALIST KISOU ATR」とは?

「ALTALIST」は、日本のサイクリストによる、日本のサイクリストのための製品開発を掲げる新進気鋭のブランドである。
その中でも「KISOU ATR」は、特にフィット感の追求にこだわって設計されたモデルだ。
筆者がこのモデルに注目したのは、他にはない独自の調整機能を備えている点である。
額との隙間を徹底的に排除する調整機能

「KISOU ATR」の最大の特徴は、ノーズパッドだけでなく、テンプル(つる)とレンズ・フレームの角度そのものを調整できる画期的な機構を備えていることだ。
具体的には、テンプルとフレームを3段階で調整することが出来る。
これにより、何が可能になるのか。
フレームを上向きに調整することで、風の最大の侵入口であった「額とフレーム上部の隙間」を、意図的に狭めることができるのだ。
逆に、レンズ下部を手前にスライドさせれば、レンズ上部が顔から離れ、通気性を確保することもできる。
この機能を使えば、自分の顔の形状や、その日のライディングポジションに合わせて、ミリ単位での最適なフィッティングが可能になる。
まさに、風の巻き込みを根本から断つための機能と言えるだろう。
筆者も体感した「KISOU ATR」の圧倒的なフィット感

筆者も長年、様々な海外ブランドのサングラスを使用してきたが、どうしても額部分の隙間が埋まらず、高速走行時の風の巻き込みには半ば諦めを感じていた。
しかし、「KISOU ATR」を初めて着用し、この角度調整機能を試した時、これまでにない一体感に驚いた。
額の隙間がピタリと塞がり、顔全体がシールドで覆われているような感覚だ。
実際に時速40km/h以上でダウンヒルをしてみても、不快な風の巻き込みがほとんど感じられない。
目が乾くこともなく、クリアな視界が保たれるため、路面の状況把握に完全に集中できる。
これは、安全性とパフォーマンスの向上に直結する、大きなアドバンテージだ。
もちろん、アジャスタブルノーズパッドと、しなやかにしなるテンプルも標準装備されており、顔全体で包み込むような、それでいて圧迫感のない絶妙なフィット感を実現している。
風の巻き込みに悩む全てのサイクリストにとって、「ALTALIST KISOU ATR」は試す価値のある、非常に強力な選択肢であると断言できる。
ロードバイクサングラスの風巻き込みに関するQ&A

Q. シールド付きのヘルメットではダメなのか?
A. シールド付きヘルメットも、風の巻き込み対策としては非常に有効である。
顔全体を覆うため、防風性能は極めて高い。
しかし、デメリットも存在する。
まず、サングラスに比べて重く、夏場は熱がこもりやすい。
また、シールドを上げ下げする手間があり、停車時に飲み物を飲んだりする際には不便を感じることもある。
デザインの好みも分かれるところだろう。
手軽さと通気性を重視するならサングラス、絶対的な防風性能を求めるならシールド付きヘルメット、という選択になる。
Q. 安いサングラスと高いサングラスで風の巻き込みは違うのか?
A. 価格だけで一概には言えないが、違う傾向にある。
高価格帯のモデルは、開発にコストをかけ、様々な顔の形状データを基に設計されていることが多い。
また、「ALTALIST KISOU ATR」のように、フィット感を高めるための複雑な調整機能が搭載されていることが多いのも特徴だ。
レンズの光学性能や耐久性、軽量性といった点でも優れている。
もちろん、安価なモデルの中にも、特定の顔の形に偶然フィットするものもあるだろう。
しかし、風の巻き込みという問題を確実に解決したいのであれば、調整機能が充実した、ある程度の価格帯のモデルに投資する価値は十分にある。
まとめ:風の巻き込みを防ぎ、快適なロードバイクライフを!

ロードバイクにおけるサングラスの風巻き込みは、単なる不快な現象ではない。
目の健康を害し、集中力を奪い、安全を脅かす深刻な問題である。
その主な原因は、顔とサングラスの間にできる「隙間」にある。
この問題を解決するためには、まず着用方法を工夫し、それでも改善しない場合は、自分の顔に完璧にフィットするサングラスを選ぶことが不可欠だ。
選ぶ際には、レンズカーブやフレーム形状、そして何よりも「調整機能」の有無を重視すべきである。
特に、額とフレームの隙間を調整できる「ALTALIST KISOU ATR」のようなモデルは、風の巻き込みに悩むサイクリストにとって、画期的な解決策となり得る。
最適なサングラスを手に入れることは、ライドの質を劇的に向上させる投資だ。
風の悩みから解放され、クリアな視界で、安全かつ快適なサイクリングを心ゆくまで楽しんでほしい。
風の巻き込みを防止できる調整機能がある「ALTALIST KISOU ATR」は、コスパも良くておすすめ。
「ALTALIST KISOU ATR」の実走レビュー記事は下記。